ホダ木を本伏せ 2017.05.27

野生のキノコは温度が不十分で少ないです。めげずにホダ木を手入れしましょう。

▶ スナップ

雨が一晩降ったとはいえあまり充分でないし、気温が充分に上がらず、キノコの発生は少ない。

そこで充分な時間ができたのでホダ木を仮伏せから本伏せにする作業を皆で一所懸命にやりました。本当にお疲れさまでした。
何と言いますか、結構重たいホダ木もあったのに、皆でやるととても早い!特に女性パワーのほうが男子より目立って活躍していたような印象なのですが・・・
■ 竹林内のホダ場
作業開始〜!
     

そして伏せたホダ木が並ぶ。
左から、ムキタケナメコエノキなど、クリタケは半分埋めて、シイタケを立てかける。
     

■ 池畔のホダ場
場所を移して、池のそばのホダ場。
積み上げた状態の仮伏せ、それを池の南へ並べます。
   

並び終えたホダ木。
左から、シイタケ、エノキなど、ヌメリスギタケなど、ムキタケなど
       

こちらでは害菌と言われるゴムタケが付いていました。余り気にすることはありませんが。
   

返って来るときにアオサギを撮りました。
   


▶ キノコの写真

少ないながらも面白い菌がありましたヨ〜

左からナヨタケ、ウツギさび病菌、ツノホコリ(現場ではホネホコリと誤同定してましたー! m_ _m)
     

この時期の冬虫夏草、一所懸命掘ましたが木が堅く掘りきれません、宿主出てこず。マルミアリタケ。
   

左からシイタケ、シイタケのホダ木から出ていたヒメスギタケ、前回に続き発見!
       

とても色が濃く美しいサクラタケ。大根おろしの匂いがする。
   

物撮り写真と検鏡写真です。
ウツギさび病菌
葉の裏にはストーンヘンジのように輪状に並ぶ「さび胞子堆」があります。葉の表には黒い精子器があります。
   

さび胞子堆をどんどん拡大してみています。
     

照明を通常顕微鏡を見る時と同様に裏から当てると、胞子堆のまわりに黄色い輪が浮き上がってきます。不思議。
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ヒメスギタケとサクラタケの断面
   

マルミアリタケの頭部です。拡大するほど照明により色が左右されます。
     

マルミアリタケの子嚢と胞子。細長い紡錘形の胞子が3列ぐらいずつ並んでいて、袋が壊れると上から放散していきます。最小目盛1つが約3.18μm
     


▶ 観察リスト

001 ナヨタケ [Psathyrella corrugis (Pers.) Konrad & Maubl.] ハラタケ目ナヨタケ科ナヨタケ属
002 シイタケ [Lentinula edodes (Berk.) Pegler] ハラタケ目ツキヨタケ科シイタケ属
003 マルミアリタケ [Ophiocordyceps formicarum (Kobayasi) G.H. Sung, J.M. Sung, Hywel-Jones & Spatafora] ニクザキン目オフィオコルディセプス科オフィオコルディセプス属
004 ヒメスギタケ [Phaeomarasmius erinaceellus (Peck) Singer] ハラタケ目アセタケ科ヒメスギタケ属
005 サクラタケ [Mycena pura (Pers.) P. Kumm.] ハラタケ目クヌギタケ科クヌギタケ属
006 ツノホコリ(変形菌)[Ceratiomyxa fruticulosa(Muell.) Macbr.]ツノホコリ目ツノホコリ科ツノホコリ属
   変形菌でなく原生粘菌とする説も出てきている(プロトステリウム目)
007 ウツギさび病菌(さび菌)[Puccinia kusanoi Dietel]プクキニア目プクキニア科プクキニア属


さび菌の話
 ウツギの葉の表にある精子器では精子が作られ、泳ぎ出すと、そのすぐ回りにある受精毛にくっついて受精し、やがて葉の裏にさび胞子を作ります。ウツギの葉についているさび胞子は、次にササに感染するとのことです。
 ササにおいては夏に夏胞子堆をつくり夏胞子を出し、これがササに感染すると冬に冬胞子堆をつくって冬胞子をつくります。
 冬胞子はその体から担子胞子を発生し、今度はこれがウツギに感染してやがて精子器をつくるのだそうです。5種類の胞子を形を変えて、また宿主も変えてつくっていく複雑な1年を過ごしている生き物なのですねぇ〜(‘ε`)