今年度初めての定例観察会

まだまだキノコの少ない春の季節ですが、小さいキノコはかわいく生えています。

4月28日、この季節、どのようなキノコがあるのか思い出せ無い季節です。おまけに今年は2週間季節が早いし・・・
キクラゲ、シイタケのような声が・・・だがしかし、ワラビ、ウドの声も大きい・・・

キノコの発生状況

しばらく歩いてようやく見つけたキノコ。このキノコの発見以降、みなさんの目が慣れてキノコ目になって、次々見つかりました。ちなみにこれはフウセンタケの一種、種の同定は難しいが現在取り調べ中。
 

次に見つかったのは径1cmほどの薄黄色いキノコ
ニガクリタケだろうと思ってヒックリ返してみると、オリーブ灰色を帯びた黄色い特徴的なヒダが見られてニガクリタケと確認。
 

カシの小径は以上で、メダカ池の手前を芝生広場を横切り渓流沿いの道へ。
ちょっと赤紫色の粉っぽいキノコが多数。
ニセヒメチチタケのようです。
     

ちゃんと乳も出ました。
それから何とも奇妙な硬質菌の発生初期のものが・・・ここは以前チャハリタケがたくさん発生していた辺りなので、その幼菌かと思われます。
 

さて、第1期開園区域外へ出まして、獣の多い谷あいへまいりました。
 

残念ながら地下生菌は見つかりませんでしたが、コガネニカワタケがこの1ヶ月で大きくなっていたのと、ミズカビの仲間と思われる菌体があったので写真を撮ってみました。超マクロでも菌糸の様子はちょっとわかりづらい・・・。
次の写真はまだ冬虫夏草菌に感染していないツチダンゴのグレバ(アンコの部分)を検鏡したもので、胞子(x1000)です。スケールの最小目盛り1つがが約1.26μmです。メルツァー試薬を使用しているので背景が薄黄色ですが、メルツァー反応は見受けられません。
   

昼食をキーナの森方面への道のそばで摂り、花を見ながら帰路につきます。
   

左はギンラン、右はホタルカズラ。あまりに小さいのでギンランではないのではないかという声もありましたが帰宅後調べるとギンランはもともと小さく10cmぐらいとありましたので、やはりギンランであると思います。
ホタルカズラの青は写真でもよく再現できました。ちょっと紫がかる青はすぐに赤みがかって本物と違ういろに写ってしまうのですが、こちらはOK!
キノコでも紫系は写真と実物の違いが出て同定に迷いが生じます。本日の採取種では次に説明しているウスムラサキフウセンタケなど悩ましいです。
さて、今日の目立ったキノコは4種・・・採取して帰りました。

検鏡を含む同定作業

大変なのよコレが・・・特に5種類以上は1日では調べられない。無職ならできるけど。
今日はちょうどよろしい。ニガクリタケ、ニセヒメチチタケはまず間違い無いと思うし。
難しいフウセンタケに挑戦だ!


<<ニセヒメチチタケ>>
     

チチタケは5〜10cmにもなる中〜大型のキノコですが、こちらは大きくても3cm程度。全体にチチタケより赤みが深く海老茶色という感じ。傘表面や柄は粉を吹いた感じ、柄に小さいクレーター状のあばたがわずかに見られるものもありました。アカモミタケなんかはそれが一番の特徴ですよね。チチはたっぷり出ました。白色で変色はしません。
     

ベニタケ、チチタケの胞子は丸くて特徴的なイボや、脈、フリルのようなものが見えるのでわかりやすいです。ただ、この付属物の模様だけで種類まで判別できるかというと、ちょっと難しいかも。
写真の左はシスチジア(尖った紡錘状)。中央は、胞子の表面に焦点を合わせた写真、右は、胞子の中央に焦点を合わせた写真。
表面といっても手前なら鋭い脈状の帯に見え、向こう側の表面に合わせると太く黒いヒモのように見えます。図鑑にはこのどちらにも似た図が掲載されていますから、早合点すると違う種と同定してしまいそう。


<<フウセンタケ属の一種 1>>
         

傘の縁に白っぽく綿状の繊維が残っていて特徴的です。傘が中丘の平たいまんじゅう型になり、ヒダは湾生状直生(ただし柄に着く部分は短く垂生)真ん中の写真の中央の個体を見てください。
ただ、種名はわかりません。柄が中空で傘と異なり白色なのが特徴でしょう。


<<フウセンタケ属の一種 2>> (ウスムラサキフウセンタケ)
         

上のフウセンタケ属の一種1に比べ紫色がかっているのが特徴。ウスフジフウセンタケかウスムラサキフウセンタケか、絵合せだけだと迷いますが、「柄が髄または中空」「胞子がより丸い(楕円が太短い)」「子実体の大きさがより小さい」ことからウスムラサキフウセンタケが一番近いと思います。
けれどシスチジアがどれかがよくわかりません。ウスフジ…のほうはシスチジアが無いということなので、悩ましいです。


<<ニガクリタケ>>
     

裏のヒダの色がオリーブ灰色がかった黄色であることからモエギタケ科の特徴をもつニガクリタケと判断。噛んで味を見るのを忘れている!